『昨夜のカレー、明日のパン』が終了してしまった。

ある喪失を、悲劇的な離別の経験を、忘れない、とか、忘れるべきじゃない、といった道徳的命題は、実は本質ではないのだ。この日常の中では。

そもそも、こんな短い人生で、忘れられようか。

逆に、どうにか忘れよう、というのも、自然じゃない。忘れようとして、喪失を埋め合わせるものにすがりついてみても、それはそれで、すがられたほうからすれば、はた迷惑なはなしじゃないか。

ゆるやかでいい。ゆるやかに日常を重ねていけばいい。それだけでいい。