• 『ミュージック・ブレス・ユー』

 上記のような作業をしていて思い出すのはこの小説。

 やたらずんずんやってきたのは、音楽を聴いているからだろう、とアザミは考えた。自分もそうだからよくわかる。一種のドーピングのようなものなのだ。音楽を聴いていないと手も足も出ない時がある。物理的にも、そして数分をただ息をしてやり過ごすだけことにさえも。けれど音楽を聴くと、それが鳴っている何分かだけは、息を吹き返すことができる。アザミはときどき、自分はその何分かをおびただしく重ねることによって延命しているだけだと思うときがある。(p69)

 

ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫)

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