建谷窟毘沙門堂〜桃の湯

建谷西光寺は面白い。個人的には中尊寺金色堂などよりもはるかに。毛越寺は美しいけど庭園だけでは物足りないというもの好きの方は、こちらにも足を伸ばしてみることをお勧めする。
そもそもの起源は戦の際の要塞であるとか。誰が立て籠もったか。蝦夷の王、悪路王と赤頭、高丸等である。ふむふむこれはリアル三悪人ではないか。名前にもどこか親しみ可笑しみがある。まあ、本当に悪い事もしていたのだろうが。しかし、名前に関しては、討伐方の田村麻呂よりよっぽどいいではないかと思ってしまう。田村麻呂では名前からし仏頂面ではないか。ここの窟を棲家にしていた悪路王ら賊は哀れ結局はそんな仏頂面に首を刎ねれらたらしい。田村麻呂は戦勝は毘沙門天のご加護と信じ、今の毘沙門堂を建てたとのこと。怨霊信仰もあったのかもしれない。少なからぬ義が三悪人の方にもあった場合はなおさらである。悪路王が単なる賊なのか、はたまた義賊なのか、わからない。歴史もいろいろに混濁している。
さて、お堂床下には広い空間があるが、ここは「昔から諸国行脚の遊行の聖や山伏、乞食等の休める安住の宿
」などとなっていたという。もしくは、武士が身を隠し、生まれ変わっていく再生の場、ともあるので、羅生門的なポトス、とも言えるのかも。聖も山伏も乞食も「遊行の徒」にかわりなく、彼らマージナルな存在は、このような場所に出入りしていた。言われてみれば、そのような雰囲気のあるところである。蝦蟇ヶ池辯天堂は時代を下ってからできたものだったとすればなおさらである。井上章一氏のいう、「寺院は昔のホテル」という論は、ここにも敷衍できそうである。
毘沙門堂の年中行事をみると修験道シンクレティズムを感じる。いただける牛玉宝印も然り。岩には岩面大仏が。こちらもすごい。
その後、桃の湯へ。中途半端にバリっぽい空間。もしかして音楽だけかもしれないが。ヘンテコなカエルの像がお出迎えしてくれる。蝦蟇つながり。嫁と岩盤浴でゆっくり汗を流すというのも、なかなか乙な休日である。



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