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川上未映子さんの『すべて真夜中の恋人たち』がすごくよかった。感想がまとまらないが、この小説で主人公入江の近くにいる聖という女性の言葉が胸に響く。
管啓次郎さんの『狼が連れだって走る月』はあいかわらずスローペースながら読んでおり、電車で感動したりしている。管さんが海外の友人とイグアスの滝を観に行き、「こういう風景はやっぱり一生残るよな、いちど見ただけで。」とつぶやくとその友人ジョルジはこう言うのだった。
するとジョルジはぼそぼそといった。もちろんさ、人間の生涯でいったい何が最後に残るとおもう、風景の記憶、それだけさ、物の所有なんてぜんぜん問題にならない、それに人間が他人と何を共有できるとおもう、あるひとつの風景をあるときいっしょに見たという記憶、それ以外には何もない、何も残らない。(p136)
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