ヴィジット⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

この祖父母あきらかにおかしい。けど、年齢も年齢だから、認知症とか、そういった病気の症状が出ているだけなのかも・・・。いや、だけどやっぱり・・・。こういった、思考の無限反射空間に、観客をうまく誘い込む仕掛けがたくさんある。例えば、若干怖すぎる鬼ごっこめいた遊びが突如始まって、ぎゃー、となって、でも、ああやっぱり遊び、鬼ごっこのつもりだったんだね、と子供たちが一息ついたのち、カメラが切り取る異様な光景。もう、ウッとなり、おかしい、やはりおかしい、となるしかない。そんなシーンの連続が前半で、そこから一気呵成に、思いもよらぬ方向に事態は進む。

徹底してPOV的手法(ホームビデオが切り取った映像)でのみ作られていながら、擬似ドキュメンタリーにありがちな、画面の荒れ、フレで恐怖を演出する要素はほとんどない。むしろ、カメラは撮影者の手持ちの場合でも驚くほどにブレないし、完全に固定されている場合も多い。だから、映像は通常の超越的な視点のような性質を有しているのに、よくよく考えてみれば、すべてPOVだったと説明がつく、という、非常に高度な構成となっている。
さて、個人的には、姉の握る鏡の破片が一瞬光るシーンにこの監督らしさを存分に感じた。なんと言えばいいだろうか。アニメ特有の象徴表現をなぜかいともたやすく演出できる才能、とでも言おうか。
ラストに流れる音楽が、すでに劇中で、それを流す演出効果込みで言及されていて、それが、やはりこの映画自体、後日、姉が編集した映画なのかしら、と思わせる要素にもなっている。だから、その後、父親の映像が流れ、感動もいや増すのである。恐るべし、ただただ恐るべし、な映画だった。結構怖いし。